下記はNPOハート・コンシャスが発行しているメール・マガジンから抜
粋したものです。
会話はNPOハート・コンシャスの玉田代表と、合同会社ベルコスモ・カ
ウンセリングの鷲津代表です。

ネット(IT)依存症 第1話


今回も私たちNPOハート・コンシャスの顧問でもある鷲津先生(ベルコ
スモ・カウンセリング 代表カウンセラー)に伺いました。

今回は、現代の親の悩みの一つになりつつある『ネット依存』とか『スマ
ホ依存』と呼ばれているものについてお話いただけますか?

「はい。まずは現状からお知らせしますね。独立行政法人国立病院機構久
里浜医療センターの調査によると、インターネットから離れられないIT
依存の傾向がある成人は421万人となり、5年前から約1.5倍に増えました。
IT依存は、男性の4.5% 女性の3.5%が「問題使用者(国際指標)」に該
当していて、若いほど高くなっています。ちなみに20〜24歳は男性の約19
%、女性の約15%ですね。これはスマホの普及が影響ではないかと考えられ
ます。子どものデータは今のところ手元にはないのですが、お隣の韓国で
は、10代の18%が1日7時間以上使用しており、端末を取り上げられると離
脱症状が出るそうです」

------離脱症状と言いますと?

「一般的には禁断症状と言われているものですね」

------あ、まるでアルコール依存症みたいですね。

「そうなんです。アルコールのように薬物ではないのにね。そしてこれが
怖いんですよ。この段階になってしまうと、もう『意志の強さ』とかいう
問題じゃなくなってしまって、やめるのはすごく難しくなっちゃうんです
よ」

------えっ、そうなんですか。
その段階っていうと、例えばアルコール依存症だと手が震えたりしますが
、ネット依存だとどんな状態になるんですか?

「性格が衝動的になり、怒りをコントロールできなくなるという感じです
ね」

------そう言えば、パソコンを取り上げられて親に暴力をふるったという
事件がありましたね。

「そうですね。だからそうなる前の手当てが必要なんですよ」

------どんな状態が要注意でしょう?

「そうですね。次の傾向が現れだしたら、もう対処に家族が行動を移さな
ければいけませんね
・他の人に関心を持てなくなる
・生身の人間とのコミュニケーションが億劫になる
・ゲーム等に多額のお金を使う
・ひきこもる時間が増え続ける

ちなみに、アメリカ精神医学会の診断基準である DSM-5で提案された『イ
ンターネットゲーム障害』の診断基準案を北海道立精神保健福祉センター
が訳したものでは、このようになったそうです。

12か月の間に以下の内5項目あるいはそれ以上が当てはまるとインター
ネットゲーム障害

・インターネットゲームに夢中になっている。(前回のゲームのことを考
 えたり,次のゲームを待ち望んだりして、インターネットゲームが日常
 生活の主要な活動となる)

・インターネットゲームが取り上げられたとき離脱症候群を起こす。(典
 型的な症状は,いらいら・落ち着きのなさ,不安・心苦しさ,嘆き・悲
 しみといったもので,薬理学的な離脱による身体症状は認められない)

・耐性−インターネットゲームに参加する時間が増えていく必要性

・インターネットゲームヘの参加をコントロールしようとする試みが成功
 しない

・インターネットゲームの結果として,インターネットゲーム以外の趣味
 や楽しみへの関心がなくなる

・心理社会的な問題があると分かっていても,インターネットゲームを継
 続してやり過ぎてしまう

・インターネットゲームの使用量について,家族やセラピストその他の人
 たちにうそをついたことがある

・否定的な感情(無力感,罪悪感,不安など)から逃げるため,あるいは
 まぎらわすためにインターネットゲームを利用する

・インターネットゲームによって,大切な人間関係,職業,教育あるいは
 経歴を積む機会が危うくなったり,失ったりしたことがある』

つまりこれに当てはまると、精神疾患になるということです。それも依存
症というのは、慢性で進行性のある病気なんですね。しかも厄介なことに
、依存症というのは『否認の病気』と呼ばれているくらい、本人や周囲が
病気であることを自覚していないんです」

------なんか、想像していたよりも大変なことなんですね。


ネット(IT)依存症 第2話

今回は前回の続きで、『ネット依存』、『スマホ依存』と呼ばれているも のについてお話いただきます。 「まずは前回お話したことの確認です。依存症というのは、これからお話 する『IT依存』に限らず、次の特徴を持つ慢性で進行性のある病気で、 意志の強さとか、叱ったりとかでは何ともならなくなってしまうものだと いうことを頭に入れてください。 ・繰り返す ・やめられない ・引き際を知らない ・より強い刺激に走る ・その事を注意されると嘘をつく ・自分の失態の責任を取らず人に甘える そして依存の原因としては次のものが考えられます。 ・ストレス ・さびしさ ・つまらない ・生育環境 ・生得的資質 これらの『特徴』と『原因』を個々に考えながら対策を考えていくわけで すね」 ------なるほど。 ところで、原因の中に『生得的資質』というのがありましたが、これはど ういうことなんですか? 「これは、持って生まれた性質と考えてください。最近は脳の研究が進ん だおかげで、例えばギャンブル依存症の人の脳は、依存症じゃない人に比 べると脳内物質の量に違いがあることなどがわかってきました。IT依存 においては他の精神疾患を併存する場合もあり、気分障害、社会不安、A DHDなどが多くみられ、中でも青少年では発達障害がよく認められたよ うですね。逆に言うと、これからどんどんと脳の研究が進めば、いずれは 各々の依存症に効く薬ができる可能性もあります」 ------そうなるといいですね。 「そうですね。でも、まずは出来ることからしていかなくてはなりません からね。『生育環境』は今頃いくら大反省会をしても、もう今更しょうが ないので、『ストレス』や『さびしさ』、そして『つまらない』生活など について、改善できることは改善していくということになるのですが」 ------まずは、対処法としてはどのようなことがあるでしょうか。 「これは受け売りで申し訳ないのですが、独立行政法人国立病院機構久里 浜医療センターでは、次のような対処法を提唱しています。 1.自分が失いつつあるものを知る   インターネットで費やす時間のために、切り詰めたり、削ったりして   いることがらを書き出しランク付けする 2.オンラインにいる時間を計る   自分がどれだけの時間をこの習慣に費やしているかを明確に知るため   に、実際に使った時間の記録をつける。 3.時間管理法を使う   代わりにできる活動を見つける、自分の利用パターンを見きわめ、そ   の反対のことをする、外部からの防止策をさがす、計画的なインター   ネットの利用時間を予定表に書き込む。 4.実生活のなかで支援を見出す   支援グループを探す」


ネット(IT)依存症 第3話

今回も前回の続きですが、依存症への対処法をお話願えますか? 「はい。依存症というのはスマホやパソコンだけではなく、他にもいろい ろあり、それらすべてが大変恐ろしいものです。例えばギャンブル依存で すが、これは厚生労働省の発表では我が国では成人の4.8%、推計536万人 いるそうです」 ------凄いですね。成人の20人に1人ですか。 「そうなんですよね。日本は実は世界でも突出したギャンブル大国なんで す。アメリカは1.58%、韓国は0.8%ですから、日本の4.8%がいかに大き い数字かがわかりますね。そしてギャンブル依存症者の6割は借金が500 万円を超えており、一説には平均1300万円弱の借金が有ると言われていま す」 ------恐ろしい数字ですね。 「ええ。しかも今や、スマホやパソコンのゲームによって、 ≪退屈→つまらない→パチンコ(スロット)≫ などに踏み込んでしまう下地も形成されつつある恐れもあるんですよね」 ------ということは、IT依存もギャンブル依存も似たところがあるとい うことですか? 「そうです。例えば性格でいうと、ある程度共通点が認められます。例え ば次のようなものですね。 ・視野が狭い ・こだわり傾向 ・偏ったプライド(無意識の自己愛) ・ストレスの処理がヘタ ・回避傾向 この中の『回避傾向』は特に注意しなければいけませんね」 ------注意と言いますと? 「こんな傾向に注意してください。 ・他の人に助けてもらいたい ・他の人に責任を持ってもらいたい ・叱られるのがとても嫌で隠す ・見捨てられ不安が強い 」 ------なるほど。そういう傾向がある子は、依存症に陥らないように特に 注意が必要ということですね。 「そうです。これは何事にも言えますが、やはり大事なのは早期発見、早 期対処なんですね。また『回避』というのは、家族も気をつけなくてはい けません。例えば不登校の子どもの家族の多くには、この『回避傾向』、 つまり『問題に向き合わない』、『問題を先送りする』、『きっとそのう ちよくなる等の根拠の無い希望』が見られるんです」 ------でも、わかる気がします。 「ところが、この依存症というのは、それに嵌っている時間が長ければ長 いほど抜け出すのが大変なんですよ」 ------そうなんですよね。誰もがわかってはいるんでしょうけど。 ところで、ではどうしたらいいのかというのが一番伺いたいところなんで すけど、次回それについてお願いします。


ネット(IT)依存症 第4話

今回も前回の続きですが、依存症への対処法をお話願えますか? 「はい。これはスマホなどのIT依存だけではなく、他の依存症にも共通 するのですが、まずは本人だけの意思や努力で片付けようとしても無理が あるということを認識することが第一です」 ------つまり家族の支援が必要だと・・・ 「もちろん家族の支援は必要です。それだけじゃなく、お医者さんやカウ ンセラー、そして自助グループなどの外部の力も必要になるケースが多い んです。もっとも困ったことにIT依存に関しては、ITの超急速な進歩 に研究や調査も追い付いておらず、また自助グループもようやく出来かか っている程度という非常にお寒い状況なんですね」 ------じゃあ対応できる所が少ないし、対処法も無いということですか。 「無いというわけではありません。他の依存症の研究に沿って考えていく 方法があります。例えば、自助グループに参加するとよいという理由の一 つに、『自分を客観的に見つめられる』というのがあります。自分で自分 のことを客観的に見るというのは本当に難しいことなのですが、例えばギ ャンブル依存症の人が自助グループに参加したとしますね。すると自分の 失敗と瓜二つの失敗をしている人がそこにいるわけです」 ------あ、なるほど。最初に先生は依存症のことを『否認の病気』と仰い ましたが、自助グループで、ダメになっていった人を見るとそこで気付く わけですね。 「そういうことです。だから、自助グループがまだ近くになくても、スマ ホ依存でおかしくなった人の流れとかをいろいろと知れば、それは自分を 客観的に見つめるきっかけにはなるということです。ただ、ギャンブルや アルコール依存症の人は、最初のうちは自助グループに毎日参加します。 これは『鍛錬』という『行動の習慣化』なんですね。これについては、I T依存症者の場合は今のところ各家庭が工夫しなくてはなりません」 ------家族で工夫することが大事なんですね。 これって、家族も鍛錬するっていうことでしょうか。 「そのとおりです。そして依存症者の周囲は、絶対にイネイブラーになっ てはいけません」 ------イネイブラーっていいますと? 「依存症者を助ける人です。依存症者の周囲には大抵の場合、依存行動を 助ける人がいるんです。アルコール依存の場合は、例えば夫がお酒を飲み たそうな顔をしてるとついついお酒を出しちゃうとか、飲んでグチャグチ ャ言い出したらもっとお酒を飲ませて寝かせてしまおうとか、ギャンブル 依存症者の場合はその借金の尻ぬぐいをするとか・・・。まぁ、やさしい と言えばやさしいんですけどね」 ------なるほど。それで依存症者がますます甘えてしまうわけですか。 「そういうことです。ギャンブル依存症者で言えば、尻拭いしてくれる人 がいるうちは抜け出られません。IT依存でも同じです。スマホやパソコ ンを取り上げられて離脱症状、つまり禁断症状が出て攻撃的になった時、 家族が折れてまたスマホを渡してしまったら、すぐに元の木阿弥になりま す。『線引きして、それを超えた場合は覚悟を決める』ことが周囲にも必 要なんです。そしてその上で、依存症者の『言葉』ではなく『行動』を重 視します。人間って依存症になってしまうと嘘もつくし、平気で人を騙し たり裏切ったりしてしまうものなんです。とにかく『行動』が大事なんで す。そして後は、生活習慣を細かくチェックすること。これらを日々継続 してやっていけば、依存から抜け出す日が必ずやってきます」 ------そうですか。依存症ってとっても怖いということがよくわかりまし たけど、それでもやるべきことをキチッとやっていけば、乗り越えられる ということですね。 「はい。そして予防も忘れないでください。ならない為には、そして兆候 が現れだした時は、 ・完全主義 べき主義などの認知の枠組みを柔軟な枠組みに変えていく ・けコミュニケーション・スキルの習得 ・よい人間関係の構築 ・ストレス耐性やストレスの処理技術をUP そして小さな事からでも向き合う癖をつけていくことが大事です」 ------はい。どうも有難うございました。



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