家族療法(短期療法)


家族療法とは、悩みや問題を抱えているクライアント1人にカウンセリングを行うのではなく、家族全体をシステムとして考え対処していくカウンセリングです(1人ではなく、と書きましたが、システムとして考えて行えばクライアントが1人でも有効なカウンセリングです)。

また、因果関係という『原因→結果』という直線的な流れで問題を捉えるのでは無く、問題は循環していると考えます。

ただいろいろな形があり、手法も違ったりするのですが、ここでは東北大学を中心とした短期療法カウンセリングについて書きますね。


まずは次の文をご覧下さい。以下「家族内パラドックス」長谷川啓三著より
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はじめにエッセンスを述べよう。
親の言うことに、ことごとく反抗する少年の両親に対して、「もっと反抗しろ」と命令するように指示する。少年はたいてい間もなく反抗をやめる。
少年は「反抗しろ」という命令にも反抗したわけである。
もし反対に命令どおりにしたとしたら、それは反抗をやめて命令に「従った」ことになる。

中略

【問題】子どもがだだをこねる

子 「あれ買ってー」
   ↓
母 「だめです (中略)」
   ↓
子 床に寝転がってせがむ
   ↓
周りの大人 じろじろ見る
   ↓
父 「帰ってから叱るから何か安いものを買っておけ」
   ↓
始めに戻る

これはデパートで幼児期の子どもに玩具をねだられる若夫婦の問題だ。
母は「デパートへ来る前にねだらない約束したでしょう」と言うが子どもはフロアーへ寝転がってせがむ。
見かねた父親が「何か安いものを買っておけ。家へ帰ってから叱るから」と言うわけだ。
----------------------------------------------------以上引用文


一般的には非難されやすい、この父親のとった行動に対して、長谷川氏はこう言います。

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父親の問題の解決手法は、大事な息子のことは後回しにしても、とにかく目前のことで他人様に迷惑をかけないようにしたともいえるのだ。

(中略)

そのような「とりあえず」の処置の仕方をすることはむしろ素晴らしいことだ。
母親が、買い物の前に、おねだりをしないことを約束したことはいうまでもなく正しい。
彼らはめいめいは自分らなりに一所懸命、問題解決に努力しているのだ。
そして、当の子どもにしても、なんとしても自分の買ってもらいたいという欲求を貫く「意志の強い子」といえないこともない。(これは無理かな)
こう考えると誰も悪いものがいなくなってしまう。しかし全体としては図のような「問題」が起きているのである。
すなわち、子どもにとっては「これだけだだをこねれば買ってもらえる」もしくは「手に入れるために泣いてみる」ことを学習している事になるのだ。

さて、悪循環が描けたら、介入計画を立てられる。この図のどこでもいいから切断するように介入すればいいのである。
例えば
1 子どもが床に寝転がったのをみて、「それーっ」と転がった子どもをもっとゴロゴロ転がしてやってもいいし…


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いかがですか? 【うまくいかない場合は『違うやり方をとってみる』ということですね。
それによって悪循環になっているシステムを変更してしまうという事です。
「絶対無理です」と言いたくなるような問題でも、「悪い循環のどこかの鎖を切る」という考え方で取り組んでいきます。

また家族(短期)療法家はリフレーミングが得意な人が多いようですし、ユーモアを大事にします。
手法としては「もし○月後の△日の夜、寝ている間にに問題が片付いていたら、その次の日はどんなふうなんだろう?」と未来に視点を持っていくミラクルクエスチョンなど、いろいろとありますが、なんといっても家族療法の特徴は【過去の原因追求】ではなく、【未来の変化】を目的とし、【人が問題なのではなく、問題が問題なのだ】と考える事です。

確かに『要はクライアントがこれからうまくいけばいい』のですもんね。




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この内容はNPOハート・コンシャスの鷲津顧問が、愛知大学OCでの講義で行った内容を元に書かれています。
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