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中高年のメンタルヘルス ~悩みとその心理的要因~

中高年の主な悩みというと、まず次の4つがよく挙げられます。

・仕事に関する悩み
・老後の経済的な不安
・家庭(夫婦、子ども、親の病気や介護等)に関する悩み
・健康(衰え、病気、死への不安)に関する悩み


また、これは中高年に限らずですが、
・人間関係の悩み
・存在感(何の為に生きているのか、必要とされているのか)の悩み
・目標(自分は何をしたいのか)や生きがいについての悩み

もあるでしょう。

そして老年に近づくにつれ、社会とのつながりが希薄になっていくこと、また子どもや孫の成長による「孤独」という問題も出てきますし、「つまらなさ」も年々増えていく場合が少なくありません。

そして、それが場合によっては不安症とかとなって表面化するわけです。

健康(衰え、病気、死への不安)に関する悩み


さて上記の悩みの中で、健康(衰え、病気)に関する悩みについては、兎にも角にも「運動」と「睡眠」と「食事」が重要になってきますが、これについてはいろいろなメディアで書かれていますので、ここでは省略したいと思います。

そして「死の不安」ですが、これは難しいですよね。人間は死ぬ確率は100%なので、どうしてもこれだけは避けられません。

落ち着いて新で行ければよいのですが、それもどうなるかわかりません。
一応このハート・コンシャスのホームページにも「死」についての考え方は少し書いてありますので、宜しければ参考にしてください。
死について考える」https://heart-c.org/shi.html

老後の経済的な不安


老後の経済的な不安を感じておられる方は大変多いと思います。
金融広報中央委員会の調査では、60代の貯蓄額の平均値と中央値(一番多いゾーン)はこうなっています。

単身世帯においては平均貯蓄額は1,468万円ですが、中央値は210万円。
二人以上世帯おいては平均貯蓄額は2,026万円で、中央値は700万円。

ということは、例えば二人以上世帯平均値では2,000万円を超える水準であっても、実際には多くの60代世帯が老後資金2,000万円に達していないわけですね。

もっとも不動産を含む資産(総資産-負債)は60~69歳では平均値が4,035万円なので、不動産を売却すれば大丈夫という方も多いとは思いますが…(もっともこれも、平均値ではなく中央値だともっと低いでしょうけど)。

でも不動産も貯蓄も無いという人はどうするんだという声も出てきそうです。
確かにお金を持っている人より大変だというのはその通りなのですが、例えば特養は預貯金や所得によって随分金額が違ってくるんですね。

例えば世帯全員が市町村民税非課税の方で、本人の合計所得金額(年金収入にかかる所得分を除く)と課税年金収入金額と非課税年金収入金額の合計が80万9千円※以下の方で貯蓄が650万円(夫婦の場1,650円)以下の場合、1日あたりの居住費(ユニット型個室)は880円、食費は390円となります。

つまり1日1270円ですね。

もちろん他にもお金はかかりますが、ただ貯蓄が多ければ多いほど国庫負担が少なくて済む政府の「老後までには2000万円の貯蓄が必要」という言葉だけで不安にならず、どうせ不安になるのなら、自分だとどうなるかはシミュレーションしてからの方がいいのではないでしょうか。

家庭(夫婦、子ども)に関する悩み


これはもう身内だけで対処するのではなく、外部の力を借りるのも一つの手です。

夫婦間の問題にしろ親子間の問題にしろ、これらは主にコミュニケーションの問題です。
「人」を問題にせず「システム(関係性)」を問題として考える家族療法や短期療法、また「考え方」の問題として考える認知療法が特定なカウンセラーに相談するのもよいでしょう。
日本ではまだまだカウンセラーに相談する人は少ないですが、欧米では問題が小さくてもすぐに相談することが珍しくありません。

また親の介護の問題に関しても、とにかく早めに外部の力を借りることがお薦めです。

「施設へ入れるのはかわいそう」とか「世間に恥ずかしい」など、家族が面倒を見るという家庭も多いようです。

もちろんそれが必ずしもいけないということではありません。
もし余裕がしっかりあり、家族みんなが喜んでそれをやると決めた場合はそれでいいでしょう。

しかし介護の負担が家族の誰かに偏って、その人がまいってしまう場合や、やってみて家族間が次第にぎくしゃくしたりして、切羽詰まって介護施設を探すという例も結構多いのです。

プロにまかせるというのも、それはそれで良い場合が数多くあります。
多くの例を見ていると、早いうちに老人の居心地のよい施設を探しておくというのも大事ではないかと思われます。

存在や生きがいについての悩み、


自分は何の為に生きているのか
自分は果たしてお金を稼ぐこと以外に誰かに必要とされているのか
今まで生きてきて何を成し遂げたのか
自分の生きがいは何なのか
自分は何をしたいのか


そして、自分に残された時間をどう生きるのか

これらの問いかけが強くなるのが中高年の悩みです。

もちろん趣味や新しい学びチャレンジしたり、地域活動やSNSなどを使って交流したりなども結構なことです。
ただ、人間の本質的な上記の問いは、旅行や趣味によって一時的に消えたような気がしたり薄まったりはするものの、心の深くには存在するものなのでしょう。

これについても、やはり心理学は役に立ちます。
例えばフランクルという精神科医の実存セラピーというのがそれです。

彼は「どうせ死ぬんだから人生は無意味じゃないか?」という問いに、こう答えました。

「もし不死だったら、私たちは何でもできただろう。
しかし何もかも後回しにすることもできただろう」と。

つまりフランクルは、「人はいつかは死ぬからこそ、なにかをやろうと思う」のだと考えたのです。

また彼の有名な言葉に「『人生』があなたに意味を問いかけている」というのがあります。

ちょっとわかりにくいですよね。
でも、この『人生』というのを『天』(神とか仏でも結構ですが)に変えてみたらどうでしょうか。

『天』があなたに、あなたの人生の意味を問いかけている

つまり、『天』があなたに期待しているということになります。

そして我々は、その期待に応えてHAPPYになる『責任』があるということです。


さてフランクルは他にもいろいろと重要なことを述べていますが、その中のとっても素敵な言葉を紹介させてください。


因果関係にばかりとらわれず、貴方を待っているモノに気付いてください

大事なのは、未来で貴方を待っているモノ
貴方に発見されるのを待っているモノ
そして貴方によって表されるのを待っているモノ


誰かの子どもとして生まれたのではなく、一人の人間として自分の道を歩く為に生まれてきた

フランクルの考え方では、自分は何の為か自分にはわからないかもしれないけど、何かの為、誰かの為に今現在生きているのです。

また自分はお金を稼ぐこと以外に、誰かはわからないけど誰かに必要とされているのです。

今まで生きてきて、何かを成し遂げているのです。

そしてそうだとすると、自分の生きがいは自分が気が付いていないだけなのです。

さて、自分は何をしたいのか…。

海は上から見ると魚も海藻も見えません(すごく綺麗な海は別として)。

でも海の中に潜望鏡を入れると、いろいろなものが見えてきます。



我々の可能性も一緒です。

今生きているということは、どれだけあるかはわからないにしろ『未来』があるということです。

そして、『未来』とは『可能性』でもあるのです。



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