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サイレント離婚、家庭内別居、仮面夫婦

CNNの「うまくいっている夫婦の多くが実は『サイレント離婚』」という記事が話題となりました。

これは米フロリダ州の心理カウンセラー、ステファニー・モア氏が提唱した言葉で、「夫婦として共通の目標を持てなくなり、パートナーと共に自分が『成長し、発展している』と思えなくなり、「夫婦がもはやお互いへの愛着を感じていないにもかかわらず、同居を続ける状態」のことを指すそうです。

この記事が世界的に話題になったというのは、我々日本人には少し不思議に感じるかもしれません。

何故なら日本には随分前から「家庭内別居」とか「仮面夫婦」という言葉があり、「サイレント離婚」というのはそれらに他なりません。

さて、ではそのサイレント離婚、日本で言うところの家庭内別居というのはどれくらい存在するものでしょうか。

これについてはノマドマーケティング株式会社が興味深い調査結果を発表しています。
ノマドマーケティング(株)は、2024年9月に全国の30歳~59歳までの既婚男女3,000人を対象に「家庭内別居に関するアンケート調査」を実施しており、その中で「家庭内別居をしたことがありますか?」という質問に対し、男性の17.1%(1,785人)、女性の12.8%(155人)、男女合わせると15%の人が「はい」と答えました。

もっとも同社が行った2021年9月の前回調査では、44%(100人中44人)が「はい」と答えたそうです。
いくら母数が前回調査で100人と少なかったとは云え、3年で44%が15%になるのは少し不思議な気がしますが、これは全体の質問項目の流れや内容で「家庭内別居」という言葉の認知の枠組みが、と今回では違ったのかもしれません。

ちなみに2015年のライブドアアンケートによると日本における仮面夫婦率は、40代では約3割だそうです。

日本人は「恥の文化」と言われ、離婚や家庭内別居は「」なので言えないという人も多いような気がしますし、そもそもあまり話さない人の場合、実はサイレント離婚状態でも「そこまでは行っていない」と思っていたり、中には気付いていない人もいる可能性もあるんですよね。

以前、どの本に書いてあったのかを忘れてしまったのですが、ある心理学関係の本に「大学生に『お父さんとお母さんの仲はいいですか?』というアンケートを配り、学生だけではなく親にも答えてもらったら、『仲がいい』との答えは父親が4割、母親は2割、そして当の学生は1割だった」とあり、思わずわらってしまったことがあります。

正確な数字はわかりませんが、サイレント離婚の要件の中に「人前では普通に夫婦として振舞っている」というのがあるところを見ると、仲の良い中高年の夫婦というのは、人が考えているよりもかなり少ないかもしれませんね。

サイレント離婚テスト

上記のようにサイレント離婚は定義が確立はしていませんが、或る程度の尺度は考えられますので日本人向きの簡易テストを作成してみました(但し標準化は行っておりません)。

サイレント離婚の簡易テスト
(Copyright(c)合同会社ベルコスモ・カウンセリング不許複製)

当てはまる場合1点、当てはまらない場合は0点を付けてください。

1.夫婦の会話が用事の伝達以外殆どない
2.人前では普通に夫婦として振舞っている
3.パートナーと一緒の空間では息苦しくなることがある
4.すぐ喧嘩になってしまう
5.セックスレス夫婦である
6.パートナーの言動でストレスを感じることが多い
7.以前浮気をした(された)ことがある
8.パートナーにものを頼めない
9.夫婦共同の夢や目標がない
10.自分は自分、パートナーはパートナーと割り切っている
11.他に好きな人がいる
12.パートナーは発達障碍ではないかと思っている
13.パートナーと生活のリズムが合わない
14.お互いに関心がない


合計が10点以上だとサイレント離婚状態ではないかと注意が必要です。

特に、「1.夫婦の会話が用事の伝達以外殆どない」については、サイレント離婚状態では下図のように、親子間でのコミュニケーションが「三角型」ではなく、母と子、父と子だけの「V字型」になっている場合が多く見られます。



サイレント離婚の男女の認知の違い


さてノマドマーケティング(株)の調査では「もし、パートナーから家庭内別居を提案されたらどうするのか」を、これまで家庭内別居をしたことがないと回答した既婚男女2,539人に聞いています。

その結果、男性は49.9%が「話し合いをして回避」と回答したのですが、女性は34.43%と回答しています。

つまり男性の半数は家庭内別居を回避したいのですが、逆に言うと女性の3人に2人は「応じる」、「家を出る」、「離婚する」ということになり、或る意味女性の方が「腹をくくっている」可能性があります。

これは、男性の方が夫婦間の問題において深刻度に鈍感である場合が多いとも考えられ、熟年離婚の多くは妻の方から切り出すということにも、それが表れています。

なお同社によると、「完全別居・離婚をしないのはなぜ?」という質問では、最も多い(複数回答)のは「今はそのタイミングではないと思うから(151人)」で、以下
「経済的理由で完全別居が難しいから(144人)」
「世間体のため難しいと思うから(80人)」
「子どもの転校、転園で完全別居が難しい(79人)」
と続きます。

我々のカウンセリングの経験上では、10年以上前は女性が経済的な問題で離婚に踏み切れないケースが多かったのですが、最近は仕事に就いている方や仕事に自信のある方も増えてきたため、以前よりは「経済的理由で完全別居や離婚が難しい」というケースは減ってきたように思えます。

また「世間体のため難しいと思うから」というのは、カウンセリングにおいては男性の方が多いようです。

サイレント離婚と発達障碍


家庭内別居にしろ、別居にしろ、離婚にしろ、カウンセリングで多いのは、パートナーが発達障碍やそのグレーゾーンではないかという悩みです。

日本人の男性は、妻に母の役割を求めるタイプが多いと言われていますが、特に発達障碍やそのグレーゾーンのタイプは幼児性が強い為、夫婦関係に問題が起こりやすくなってしまいます。

ちなみにカサンドラ症候群とは、アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症 ASD)の特徴のある身近な人との関係によって、心身の不調が生じる状態のことですが、主に夫婦や恋人関係において、パートナーの共感力や想像力(察する能力)が低いことにより孤独感やつらい思いをしているパートナーに起こる精神や肉体の不調です。

写真 なお、アスペルガー症候群には
自分のことばかり喋り続ける
知識をひけらかす
相手が何か言っても、すぐに自分の話に戻す
という「積極型」と
・自分から関わりを求めない
・積極的な人に支配されやすい
・自分の趣味や楽しみを優先する
という「消極型(受動型 孤立型)」があり、前者の積極型の方は結婚後早めに問題が表面化するのですが、後者の消極型の方はかなり時間が経ってから離婚問題が起きることも珍しくありません。

カサンドラ症候群について、詳しくは下記の当協会のページをご参照ください。↓ https//heart-c.org/cassandra.html
また発達障碍でも、パートナーがアスペルガーではなくADHDの場合があり、その場合の問題点はこのようになります。

・上手くいかないとすぐ投げ出す
・じっくりと話し合えない
・切れてしまうことがちょいちょいある
・待つことが大の苦手
・衝動的な行為や発言をしてしまう
・人の話が終わる前に喋り始めたり、人の会話に口を挟む

大人の発達障碍について詳しくは、姉妹団体のNPO日本次世代育成支援協会のページをご参照ください。

大人のアスペルガー https://npo-jisedai.org/aaspe.html

大人のADHD https://npo-jisedai.org/aADHD.html

また熟年夫婦の上手なコミュニケーションは下記となります。↓
https//heart-c.org/jyukunen.html


ご相談がございましたら、NPOハート・コンシャスが有料ですがご相談を承ります。


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この内容はNPOハート・コンシャスの鷲津が、講義の内容を元に書いております。
著作権はNPOハート・コンシャスにありますので、無断使用、複写等はできません。ご了承ください。

♪楽しく、役に立つ心理学やカウンセリング理論を学びませんか?

NPOハート・コンシャスではNPO日本次世代育成支援協会と心理学講座(心理カウンセラー講座)を行っています。

毎週月曜コース 13:30~16:00 場所 一宮市
参加費 月4回で1万2千円(テキストや資料代込)

また毎月1回の土曜集中講座(12回完結)や日曜ベーシック集中講座も開いています。
詳しくはコチラ⇒hhttps://npo-jisedai.org/kouza.htm
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NPOハート・コンシャスの活動状況



「ネット・スマホ・ゲーム依存の予防と対処」セミナー

2024年も各地の学校でNPOハート・コンシャスの会員が講演
大分県大分大学(鷲津秀樹)
愛知県豊田市立下山中学校
岐阜県揖斐郡大野町立南小学校
愛知県豊川市立桜町小学校
愛知県犬山市立城東小学校
愛知県知立市八ツ田小学校
東京都狛江市狛江第三小学校
愛知県長久手市長久手北中学校
愛知県江南市藤里小学校
愛知県海部郡蟹江小学校
豊川市立萩小学校
岐阜県飛騨市古川西小学校
岐阜県可児市立今渡南小学校
岐阜県揖斐郡学校保健研修総会
他に各地の生涯学習センターなど多数

歯科医院経営・総合情報誌「アポロニア21」に掲載

日本歯科新聞社が発行する歯科医院経営・総合情報誌「アポロニア21」4月号のパワハラ予防特集で【「つい口調がきつくなる」院長への処方箋(鷲津秀樹)】というタイトルで掲載されました。




大分大学地域連携プラットフォーム推進機構」主催のセミナー

2024年3月6日に大分県立看護科学大学、日本文理大学、別府大学、立命館アジア太平洋大学、大分県立芸術文化短期大学、大分短期大学、東九州短期大学、別府溝部学園短期大学、別府大学短期大学部、大分工業高等専門学校、放送大学大分学習センター、大分大学で構成される「大分大学地域連携プラットフォーム推進機構」主催のセミナーの講師として、各校の教職員の方々対象にWEBで講演しました(鷲津顧問)。


家庭教育月刊誌「子とともに ゆう&ゆう」に掲載

公益財団法人 愛知県教育振興会が発行する家庭教育月刊誌「子とともに ゆう&ゆう」9月号(編集:愛知県小中学校長会、愛知県小中学校PTA連絡協議会、名古屋市立小中学校長会、名古屋市立小中学校PTA協議会)の”ゆうゆう情報局”に「ゲーム依存と子どもたちの環境」というタイトルで掲載されました。



児童とスマホの問題についてお話しました

東海テレビ「スイッチ」で、幼児や児童にスマホを見せることについてお話しました。






福井県で「ネット・スマホ依存防止セミナー」の講師を務めました

福井県坂井市教育委員会主催の「ネット・スマホ依存防止セミナー」の講師を務めました。 沢山の先生や教育に携わる方々に熱心に聴いていただき、また貴重な現場の情報をいただきました。 子どもたちの未来に少しでも貢献できましたら幸いです。



清州保健所の「自殺対策人材育成研修」

愛知県県清州保健所の職員対象に「自殺対策人材育成研修」が開かれ、講師を務めました。




一宮消防局で、「パワハラ防止」の講演

愛知県一宮消防局の「パワハラ防止セミナー」で、NPOハート・コンシャスの鷲津が講師を勤めました。





中日新聞にネット依存のコメント掲載

2018年6月5日付け中日新聞朝刊の秋葉原殺傷事件の検証記事、「孤立 ネットの虚構におぼれ」において、NPOハート・コンシャスの鷲津が取材を受けた時のコメントが載っています。
(内容は左の記事の画像をクリックしてください)








和歌山県主催のネット依存防止セミナーの講師を務めました。

平成30年1月28日(土)に和歌山県主催の「ネット依存防止セミナー」が開かれ、講師を務めました。
https://npo-jisedai.org/2018wakayama.pdf






名古屋テレビの報道番組「UP!」でコメントしました。

名古屋テレビの報道番組「UP!」で、ネット・スマホゲームの問題点についてお話しました。




碧南市広報に掲載されました。


碧南市の医師会、歯科医師会、薬剤師会と行政が一体となった「碧南市健康を守る会」の総会で、NPOハート・コンシャスの鷲津秀樹が講演させていただいた内容が、碧南市の広報で紹介されました。
https://npo-jisedai.org/hekinan.pdf






 

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icon 電話番号0586-72-7880
 icon 玉田 tamada@heart-c.org


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