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中高年のメンタルヘルスとうつ病

高齢化社会という言葉が世に出てから、もうかなりの年数が経っていますが、身体の問題と共に重要となってくるのがメンタルヘルスの問題です。

例えば高齢者のうつ病の有病率は、約10~15%と推定されているのですが、15%というと6~7人に1人がうつ病を抱えているわけですね。

なお「老人性うつ」というのは、65歳以上の高齢者がかかるうつ病のことを一般的に言っています。

その老人性うつは、環境的要因(退職や環境の変化)と、心理的要因(病気や老いによる先行きの不安、孤独)があり、メンタルの問題としては
・気分の落ち込み
・やる気が出ない
・興味が起きない
・楽しさや面白さ、喜びといった感情の喪失
孤独感
などが症状として見られ、時には認知症と間違われることもあります。

さて、老人性うつの心理的要因としても挙げられる「孤独」についてですが、これは大変大きな問題であり、例えば寿命で言うと40歳時点での既婚者と未婚者の平均余命(1995年時点)を比較すると、未婚者の方が8年以上も短くなっているんですね。
(国立社会保障・人口問題研究所「配偶関係別の40歳時平均余命」2005年版)

特に男性においては未婚者より離別の方が平均余命は短くなる傾向があることもわかっています。

なお,やはり男性において、当初は「孤独はない」としつつも次第に孤独を感じる情景や人と繋がりたいという思いを訴える「隠れ孤独」者の存在が山崎幸子氏らの研究調査によって明らかにされています。

この調査(調査対象者 40〜60代の単身者1320人)によると「隠れ孤独群」が17.2%存在しており、しかもそのメンタルの状態はうつ傾向の危険域レベルに達していました。
(「隠れ孤独者把握のための孤立・孤独状況の分類(40〜60代の単身者1320人)」)

中高年の孤独シンドロームテスト

さて、その「隠れ孤独」のリスクを避けるためにも、中高年は自身のメンタルの状態を知っておくにこしたことはありません。

そこで私たちNPOハート・コンシャスは手間迄のカウンセリングや講座参加者のお話等を元に、ベルコスモ・カウンセリングと共同で「中高年の孤独シンドロームテスト」を作成しました。
(Copyright(c)合同会社ベルコスモ・カウンセリング不許複製)

よく当てはまる場合は2点、まあまあ当てはまる場合は1点 当てはまらない場合は0点を付けてください。

合計が16点以上だと注意が必要となります。

1.相談できる人が殆どいない
2.自分と人とは考え方が違う場合が多い
3.人とあまり付き合いがない
4.自分は取り残されている気がする
5.周囲の話はつまらないことが多い
6.人に対しての関心をあまり持たない方だ
7.自分の話を聞いてもらえない
8.好きな番組がなくてもテレビやネットを見ている
9.人に頭を下げてまでものを頼みたくない
10.老人クラブや市町村の行うイベントはあまり参加したいものがない


中高年の孤独の問題点


ところで2020年に発生した新型コロナの流行の前と後では、深刻な孤独を感じる人においては状況が悪化しているという調査結果があります。(Npmura Reserch Insutitute 第365回NRIメディアフォーラム)

確かにコロナ禍では外出を控えるようになり、コミュニケーションの機会が激減した時期がありました。

そして孤独に嵌ってしまう大きな要因の「億劫」や「面倒くさい」という感情が悪循環を拡大していると言ってもいいでしょう。

また、「孤独」というのは個人の性格や行動の問題であり、孤独になった責任は本人にあるという空気が現代社会には強くあります。

しかも積極的にコミュニケーションを取る機会や場は、欧米と比べると日本はかなり少ないのと、そういう場では「恥ずかしい(照れる)」と感じやすい日本人の特性も、孤独になりやすい要因と考えられます。

特に中高年はその「恥」という概念が強いので、なかなか「孤独だ」と表現しにくいのも事実です。

そして言えないからますます孤独から脱出できなくなり、これも特に男性に多いのですが、その「寂しさ」を「怒り」や「批判」で表現することにより却って自分から人を遠ざけてしまうということも少なくありません。

環境においても、パブリックな場(老人施設や老人クラブ等)は、そもそも外交的で話すことが好きな人や、積極的に活動する人が参加しやすいシステムになっている場合が多いんですね。

そしてそこでは、そういう人が当然のことながら中心となりやすく、人見知りをする人や内向的な人にとっては居心地が悪いケースもよく見かけられます。

また、定年前に権威や立派な肩書を持っている人は、お互いになかなか馴染みにくい雰囲気となってしまう場合もあります。

なお、難聴も孤独な状態に嵌る要因として注意が必要です。
難聴は認知症にも繋がるので、早期発見で補聴器などで対応することも大事ですね。



中高年の孤独の対処法


さて、孤独に陥らない為にはやはり人間関係をどうするかということになってきます。

自立というのは孤立とは違います。

自立とは一般的にはなんでも自分でやって、他の人に依存しないことだと考えられている場合が多いのですが、心理学的に言うと「頼るべき時や、頼っていい時には人に頼れる人」が本当の意味で自立した人となります。

となると孤独に陥らない為には、やはり人間関係をどうするかということになるわけですね。

老人性のうつ病も、良好な人間関係を持っている人はかかりにくくなるとも言われています。

さて、その人間関係については、私たちNPOハート・コンシャスのこのホームページにも、いろいろと記載してあります。

下記のページも参考にしていただけましたら幸いです。

  • 熟年夫婦の上手なコミュニケーション
  • 中高年の上手なコミュニケーション
  • 孫との上手なコミュニケーション




  • 好評発売中の「心の本」

    「ハートの免疫力UP!」認知療法と解決志向アプローチ
    鷲津秀樹著 (お求めはアマゾンで↑)

    この本は、このページの筆者が大学の講義(心理学)のテキストとしても使用していた、認知療法や解決思考アプローチをわかりやすく解説した図書です。


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    この内容はNPOハート・コンシャスの鷲津が、愛知大学OCでの講義の内容を元に書いております。
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