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熟年夫婦の離婚問題

厚生労働省が発表した人口動態統計(2022年)によると、年間の離婚件数は約18.4万件となっています。
そしてそのうち、50代以上の離婚は約6万件超で、全体の3分の1を占めました。
つまり、離婚の3人に1人が50代以上ということですね。

なお2023年の調査では、同居期間20年以上の離婚件数は39,812件となっており、1985年の20,434件の約2倍に増えています。
ちなみに同居期間が5年未満の離婚件数は、1985年の56,442件に対し2023年は52,783件で若干減っています。

この間、老人の絶対数が増えたということはありますが、それにしても2倍というのは驚きです。

ところで株式会社Clamppyが情報提供している「ツナグ離婚弁護士」(https://clamppy.jp/rikon/column/zyukunenrikon/74)では、熟年離婚(20年以上の婚姻期間を経ての離婚)に関して下記のような研究結果を発表しています。

まず、離婚によるメリットとしては、

<男性>
1位 金銭面で楽になった 30.1%
2位 親戚付き合いがなくなった 23.1%
3位 仮面夫婦を演じる必要がなくなった 18.8%

<女性>
1位 仮面夫婦を演じる必要がなくなった 23.8%
2位 親戚付き合いがなくなった 21.4%
3位 金銭面で楽になった 17.6%

となっています。
男女とも「親戚付き合い」というのは大きな問題であるということがわかります。
配偶者に我慢を強いると、離婚に繋がる危険性が高いということですね。

少し気になるのは「金銭面で楽になった」という女性が17.6%もいるということです。
逆に言うと、熟年離婚した17.6%の男性は妻にお金で苦労をかけていたということになりますが、意外と高い数字ですね。

またデメリットでは

<男性>
1位 家事が大変になった 30.0%
2位 孤独を感じるようになった 27.7%
3位 デメリットはない 27.2%

<女性>
1位 デメリットはない 43.2%
2位 金銭面で不安が出てきた 24.4%
3位 現在の家に住めなくなった 10.3%

という結果となっていますが、男性では2位となった「孤独を感じるようになった」は、男性の27.7%に対し女性はたったの5.0%しかありません。
これも逆に言うと、熟年離婚した94.5%の女性は「すっきりした」と感じているということでしょうか。

デメリットについての女性の1位 (離婚したことで)「デメリットはない 43.2%」と通じるところがあるようです。

熟年夫婦の夫婦満足度と離婚の予兆

さて、今度は雑誌「ハルメク」を発行している株式会社ハルメクホールディングス(https://biz.halmek.co.jp/)の「生きかた上手研究所2024年調べ」ですが、ここにも重要な情報が載っています。

まずは<夫婦満足度(「満足」「やや満足」の合計値)>についてです。

2021年と2024年の比較(左のポイントが2021年)

男性50代 70.0 68.0
女性50代 64.0 54.0

男性60代 81.0 69.0
女性60代 73.0 57.0

これを見ると女性の50代は、この3年で満足度が10ポイントも落ちています。
これはコロナも影響しているかもしれませんね。

「夫がリモートワークでずっと家にいるので、鬱陶しい」という悩みで、当協会(NPOハート・コンシャス)にカウンセリングに来られた方は、確かに何人もおられますから。

そして次は<離婚を考えたことがある割合(「離婚を考えている」「これまでに考えたことがある」の合計値)。についてですが、
これも2021年と比べ

男性50代 40.0 42.0
女性50代 51.0 50.0

男性60代 31.0 36.0
女性60代 50.0 54.0

となっており、60代は男女とも4~5ポイント上昇しています。
どちらにしろ女性は50代、60代共に半数以上の人が離婚しようと考えたことがあるんですね。

ところで株式会社ハルメクホールディングスの調査では、<仲良し夫婦と不仲夫婦の差>も調べています。
その中でが特に大きかったのは下記の3つです。

仲良し夫婦と不仲夫婦の比較(左のポイントが仲良し夫婦)

夫婦で食事するようにしている 83.9 43.6
同じ寝室で寝ている      56.0 23.3
結婚記念日をお祝いしている  40.2 10.9

これも逆に言うと「一緒に食事をする」、「同じ寝室で寝る」、「結婚記念日や相手の誕生日のお祝いをする」等が出来ていたら、比較的安全だということになりますね。

熟年夫婦の離婚の原因

さて、今度は離婚の原因についてです。
これにはいろいろとデータが出ているのですが、堅いところで家庭裁判所の「令和2年度申立ての動機別申立人別」に出ている結果から考えてみます。
これによると離婚の動機のBEST5はこうなっています。

         夫   妻
(総数     15500  43469)

1.性格が合わない  9240  16304
2.暴力       1454   8576
3.異性関係     2132   6505
4.浪費       1883   4020
5.性的不調和    1749   2808


ちなみに「エン婚活エージェント株式会社」(https://en-konkatsu.com/)が実施した、2020年に離婚した「2020年の離婚」に関する調査(20代~40代の男女を対象)ではこうなっています。

「離婚に至った理由を教えてください(複数回答可)」

1.性格が合わない(55.6%)
2.異性関係(17.0%)
3.DV・モラハラ(16.2%)
4.金銭トラブル(14.0%)
5.性的不調和(13.5%)
5.家事や子育てに非協力的)(13.5%)
7.親族との不仲(10.1%)
8.飲酒トラブル(9.9%)

こちらは対象が20代~40代の為、「子育て」というのが入っていますが、やはり要因としては家庭裁判所と共通しているものがあります。

熟年夫婦の問題解決


しかし離婚の原因については、心理学の観点からでは少々おかしな感じを受けるところがあります。
それは家庭裁判所においてもエン婚活エージェント株式会社の調査においても、1位が「性格が合わない」となっているところです。

性格なんて一人一人が違います。
例えば脳の構造がほぼ同一の一卵性双生児でも、例えば生まれてすぐに別々の家にもらわれて行った場合は、性格はずいぶん違ってくることがわかっています。

また、同じように育てたつもりでも、持って生まれた脳の構造の違いによって性格は兄弟でも全然違うことなんて、普通ですよね。

環境や脳の構造も違えば育った環境も違う、しかも男と女では、もともと性格が合わないものだと考えた方がよいでしょう。

だとすると、持って生まれた脳の構造の違いや育った環境の違いによって性格が違う二人が、その違いを擦り合わせて上手く共同生活を送ることが『結婚』なのです。

喩え擦り合わせても、時と共に人間は変化しますから、当然のことながらメインテナンスは必要となります。

となると、「人は変化する」という当たり前のことを忘れて、メインテナンスを怠った結果が離婚であるということなんですね。

ということを頭に置いて、是非当協会のホームページの中にある「熟年夫婦の上手なコミュニケーション」をご覧ください。
是非、コミュニケーション心理学をお役に立てててただけましたら幸いです。

「熟年夫婦の上手なコミュニケーション」はこちらです。↓
https://heart-c.org/jyukunen.html


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