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認知症予防

認知症とは脳の劣化や異常で認知機能(記憶力や判断力)が低下し、生活に支障をきたす状態です。

アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などいろいろ種類がありますが、多いのはアルツハイマー型で、初期症状としては記憶障害が多く見られます。

有病率は厚生労働省の調査では65歳以上の約16%が認知症と推計されており、80歳代の後半であれば男性の35%、女性の44%が認知症であることがわかっています。

ところで認知症のリスクが高まる要因としては、以前から飲酒や喫煙の習慣が挙げられており、また高血圧や糖尿病、肥満の人は特に要注意と言われてきました。

その認知症のリスクについてですが、生涯にわたって減らすための行動についてをの報告書を、医学誌「ランセット」の認知症に関する委員会が2024年に発表しています。

それによると認知症を予防したり遅らせたりできる可能性があるそうですが、その行動とは下記の14項目です。
(なお数字はリスクを減らす可能性を表したもので、全てを足すと最大で約45%となります。)

0~18歳
・質の高い教育 5%

18歳~65歳
・難聴の人々が補聴器を利用 7%
・うつ病を効果的に治療する 3%
・外傷性脳損傷 頭部保護具を使う 3%
・運動する 2%
・喫煙を減らす 2%
・高血圧を予防、低減、治療する 2%
・高コレステロールLDLを治療する 7%
・糖尿病の予防や治療をする 2%
・肥満治療する 1%
・過度な飲酒を減らす 1%

(65歳以上)
・社会的孤立を予防する 5%
・視力治療 2%
・大気汚染への暴露を減らす 3%

(出典 日本経済新聞 ナショナル ジオグラフィック日本版
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG146PG0U5A410C2000000/)

もっともこの中には「外傷性脳損傷」とかいうかなり不幸な例もありますが、認知症のリスクを減らす研究は他の機関でもいろいろと行われているので、上記の項目も含めて身体における大事なことをまとめてみると、こうなりました。

【健康管理(医療)】

・聞こえにくくなったら補聴器を利用
・見えにくくなったら視力治療
・高血圧を予防、低減、治療
・高コレステロールLDLを治療
・糖尿病の予防や治療
・肥満治療
・睡眠習慣の改善

自分で出来る対策

・食習慣の改善
・過度な飲酒を減らす
・喫煙を減らす
・大気汚染への暴露を減らす(空気清浄機)
・運動習慣


ところでこの運動習慣においては、手軽に始められるウオーキングが前頭前野を鍛える効果があり、認知症予防に良いことが最近の研究によってわかっています。

地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの研究によると、70~80歳の女性の認知機能テストの成績と日頃の運動習慣の関係を調べてみたところ、日頃よく歩く人はテストの成績が良く、週に90分以上歩く人は、週に40分未満の人より認知機能が良いことがわかったそうです。

これは無理のない歩行を行うことにより、脳の海馬のアセチルコリンが増え、抗認知症薬と同じ効果が期待できるからだそうです。
(出典 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター
https://www.tmghig.jp/research/topics/201412-3404/)

ただ、できれば活動は単調にならないことも求められるので、ウォーキングもいつも決まったルートではなく、何らかの刺激を得られるような工夫があればモアベターですね。

認知症予防には社会とのかかわりが大事

ところで、認知症のリスクを低くするためには行動だけではなく、思考も単調にしないように努める必要がありますが、それにはやはりコミュニケーションが一番でしょう。

孤独でテレビのような受け身の刺激だけで暮らすというのが、認知症に繋がる早道だそうです。

それに引き換え、人や社会とのかかわりが多様な人ほど、認知症になるリスクが低いという結果がいろいろな研究で明らかになっています。

国立長寿医療研究センターの研究で、社会関係と認知症発症リスクとの関係についてを調べたものがあります。
(要介護者ではない65歳以上の13,984人を対象調査 2017年発表)

それによると約9.4年にわたる追跡調査の結果、
・同居家族と支援のやりとりがある
・配偶者がいる
・友人との交流がある
・地域のなんらかのグループ活動に参加している
・就労している
のどれかに当てはまる人は認知症になるリスクが低くなることがわかり、しかも該当する項目が0〜1個の場合に比べて、3個で25%、4個で35%、5個では46%、認知症の発症リスクが低下していました。

同居家族や配偶者がいない場合は、やはりまずは外出の機会を増やし、人との関わりを持つことが大事となってくるでしょうね。

コミュニケーションについてはNPOハート・コンシャスの「中高年の上手なコミュニケーション」のページをご覧ください。

生き生きとした生活と有意義な人生を送るには

趣味を持つと認知症リスクが低くなる低下させる可能性が高いという研究結果がこれも国立長寿医療研究センターをはじめ、いろいろな機関から発表されています。

例えば、中高年にありがちな「家でごろ寝」は、認知機能の維持や低下とほとんど関係がなく、意外なことに「買い物、外食」もそんなに関係ありません。
ところが「趣味」は認知機能が低下するリスクを下げていました。
(国立長寿医療研究センターhttps://www.ncgg.go.jp/ri/advice/16.html)

そして国立がん研究センターの研究では、なんと65歳以上の趣味がたくさんある人では認知症リスクが32%減少したという結果も出ています。

なお、千葉大学による「認知症予防に効果的な趣味は?」の研究結果によると、認知症予防に効果が期待される趣味は下記であることが発表されました。

◼︎男女共通でおすすめの趣味
グラウンド・ゴルフ、旅行

◼︎男性におすすめの趣味
ゴルフ、パソコン、釣り、写真撮影

◼︎女性におすすめの趣味 手工芸、ガーデニング・庭いじり

軽度認知障害ですと 14%~44%の方が認知機能低下を回復できる可能性があるという研究もあります。

認知症はかなり予防できますし、逆に言うとそれを心がければ、人生の後半を有意義に過ごすことができます。

知的行動や趣味を増やすと認知症の予防になるだけではなく、人生も豊かになっていくということですね。
また生き生きとした人生を送るには、やはり自分が居やすい場所にずっといるのではなく、そこから出て新しいことや面白そうなことにチャレンジすることも大事です。

例えば地域のイベントに参加するとか、カルチャーセンターに参加するなどは、体を動かすことや人間関係の刺激を受けること、また趣味を増やすことにも繋がります。

簡単にできるボランティアもいいですね。

NPOハート・コンシャスとNPO日本次世代育成支援協会の行っている心理カウンセラー養成講座には、心理学を趣味とする中高年の方も沢山通っておられ、中には当協会にも小中学校からの依頼が多い「ネット・スマホ・ゲーム依存防止の講演」に講師として行ったり、生涯学習センターの市民講座の講師を務めたりしている中高年の人もおられます。

もうこうなると認知症の予防にもなりますし、数多くの子どもたちの為にも役に立っているということになります。

皆さんとっても若々しく生き生きとしておられますよ。

興味をお持ちの方は下記をご覧ください。



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